【メガバンク・地銀就活生向け】銀行×テクノロジー(Fintech)による新しい銀行の業務の形
- beer brew
- 2024年3月5日
- 読了時間: 7分
更新日:2024年3月13日
この記事の要約
銀行の主な機能は金融仲介、信用創造、決済の3つ。
テクノロジーの進化で決済と金融仲介が進化中。
地方銀行は低金利やマイナス金利で苦戦。
メガバンクは厳しい経営環境で変革を迫られ、海外での収益も減少。
三井住友はリテール業務をオンライン化し、未来型店舗を展開。
FinTechは低金利で新しい市場を開拓し、シリコンバレー企業も金融に注目。
中国のAlipayや日本のLINE Pay、Apple Payなどが金融とテクノロジーを融合させて進化。金融×テクノロジーの世界は今後も注目される。

銀行のしくみ
銀行の基本的な機能は、大まかに言って3つあります。
最初は「金融仲介機能」で、これは借りたい人と貸したい人をつなげる働きをします。
次に「信用創造機能」があり、これは銀行が預金を集めることで新しいお金(信用)を生み出す機能です。
そして「決済機能」は、現金を使わずに支払いができる便利な機能です。
しかし、実際のところ、多くの人々が特に注目しているのは、「決済機能」と「金融仲介機能」の一部分だったりします。
人々が求めているのは、手数料が少なくサクサクと支払いができることや、必要な時に迅速にお金を借りることです。
テクノロジーの進化により、これらが実現しつつあるというわけです。
銀行の苦境
銀行業界において、かつてはシンプルな仕組みで利益を上げることができたように見えましたが、最近では厳しい状況に直面しています。
特に地方の銀行は、「お金貸せない」「儲けの差が縮小してしまって」「利回りも振るわない」といったトリプルの苦戦を強いられています。
日銀がマイナス金利政策を導入して以降、「お金を貸しても儲からない」状態が続き、金利低下により国債での収益も難しくなっています。
過去10年で企業向けの融資は9%、個人向けは19%も増加しているにも関わらず、これに伴う利益の低下が顕著です。
銀行業界は新たな収益源を模索し、不動産融資や投資信託、保険で手数料を上げる方向に舵を切っています。
しかしこの選択によって、焦点を当てる分野が変わってくることは否めません。
特に注目すべきは、これまでのメガバンクが比較的緩やかな経営環境にあったことです。
しかし、日銀のマイナス金利政策の影響で銀行の利益構造が大きく変わり、高い人件費などの固定コストがますます重くのしかかっています。
メガバンクは国内での苦戦を補完するために海外展開を模索していましたが、トランプ政権の金融規制緩和が失敗に終わり、そのチャンスも潰れてしまいました。
株式市場でもメガバンクの株価は伸び悩み、「儲かりづらいかも?」との見方が強まっています。
経営環境の変化に追い詰められた銀行業界は、今後ますます厳しい課題に立ち向かうこととなりそうです。

銀行のデジタル化のはじまり
確かに、銀行業界は急速な変革が求められ、その中で三井住友フィナンシャルグループが先陣を切って行動したことは注目に値します。
2015年、三井住友はリテール業務の改革に着手し、欧米の銀行をリサーチするための秘密のキャラバン隊を結成しました。
このキャラバン隊は、海外の銀行が採用しているITの技術を研究し、それを基に日本でも同様の変革を果たすべく行動しました。
アメリカやヨーロッパでは、ITの活用により銀行店舗が大きく変化しており、これに触発されて三井住友は大胆な改革を決断しました。
その結果、中野坂上の「次世代店舗」が誕生しました。
この支店はまさに未来の銀行を象徴するようなもので、窓口なし、書類なし、支店長室ですらないオンライン中心の仕組みで運営されています。
三井住友はこれを全店舗に展開する計画を進めており、そのスピードと決断力が大きな注目を集めています。
このイノベーションのおかげで、三井住友は他のメガバンクに比べて人員削減の規模を抑えつつも、変革を進めることができています。
一方で、他の銀行がスタートが遅れた分、削減のダメージがより大きくなっている実情が浮き彫りになっています。銀行業界の未来を切り拓くためには、このような積極的なアプローチが不可欠なようです。
【本題】Fintechの浸透と銀行が直面する変化
FinTech(Finance + Tech)が注目されるようになった理由は、大きく3つあります。
まず、1つ目は世界的な低金利状態で、従来の金融商品では利益が見込めなくなったことです。
この中で、テクノロジーを駆使して従来の銀行が手つかずだったニッチな市場に進出する動きが活発化しました。
2つ目は、金融業界でリストラや自動化による仕事の減少が起こり、そのプロたちが新しいアイデアや起業への意欲を持ち、FinTechを押し上げたことです。
そして、3つ目は、スマートフォンを活用してショッピングからローンの申し込みまでが簡便に行えるようになり、利用者にとって便利でお得な選択肢となったことです。
銀行がこれまで担っていた手作業の事務作業をシステム化し、スマートでリーズナブルなサービスを提供するFinTech企業が増加しています。
メガバンクがこれに適応できないと、競争力を失い、利益が減少する可能性が高まっています。
このため、銀行業界は2つのタイプに分かれると考えられています。
まず、個人向けのサービスを提供する銀行で、スマホを使った決済や借り入れが簡単に行え、利用者にとって使いやすいサービスを提供することが重要です。
例えば、ふくおか銀行はアクセンチュアと提携してこの分野に進出しています。
次に、データを活用して企業にお金を貸し出す銀行で、ネット企業やオンラインショップが主な対象です。
企業は自社で貸し出しサービスを提供する動きも見られます。メガバンクは自身の得意分野に集中し、強化していく必要があります。
同時に、メガバンクはデジタル技術を駆使して業務を効率化し、事務作業を大幅に削減する方向に進んでいます。
例えば、三井住友の中野坂上支店では、フロントとバックの作業を効率的に分担し、余った人手を新たな事業に投入しています。
これにより、メガバンクは将来に向けて競争力を維持し、新しい収益の源を見つけることが期待されています。
金融に参入する異業種
シリコンバレーの企業やベンチャーキャピタルが金融業界に大きな興味を示しているのは、ビジネスチャンスが輝いているからです。
世界中で人とお金が動き回る中、スマートフォンやネットの普及により、お金の取引もますます簡便になっています。
そのため金融業界はますます重要性を増しており、またその分野は規制が厳しいことから、規制が緩和されれば新しい参入者が現れる可能性が高まります。
シリコンバレーの企業たちはこのチャンスに目を付け、「攻め時」を迎えているのです。
特にFinTech分野で進展している企業として、中国のAlipay(アリペイ)が挙げられます。
AlipayはAlibaba(アリババ)が作った決済プラットフォームで、日常的なショッピングから金融商品の購入まで、幅広いサービスを提供しています。
中国のAlipayは2015年に驚きのキャンペーンを展開し、スーパーで気になる商品のバーコードを読み取り、ネット上で一番安いところを教えてくれるサービスを提供。
これにより、一気に数十万人が参加し、オンラインでのショッピングが急増しました。
このような新しいショッピング体験は、従来のスーパーや小売店に大きな影響を与えました。
日本でもLINE PayやApple Payなどが同様の方向性でサービスを提供し、金融×テクノロジーの世界はますます面白くなっています。
Appleは既存のカード決済システムを賢く活用し、アップルが大手カード会社を買収しない独自の戦略を展開しています。
これからも金融とテクノロジーが融合して新しいビジネスチャンスが生まれることが期待され、これらの動きを注視する価値があります。
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